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読売新聞を購読して(1

2004321

宇佐美

 

 この3か月は、読売新聞の販売拡張員氏に釣り上げられて、読売新聞を購読しています。

でも、紙面に目を通した事は殆どありません。

何故なら、全紙面が社主の渡辺恒雄氏の管理監督が十分に行き渡っていて、読む前からどんな事が書いてあるかが判ってしまうのですから。

 

 でも、2度ほど、おや!と思って目をとめました。

その一つは、今日の編集委員橋本五郎氏のコラムでした。

(その後半は、例のナベツネ調ですので、前半部分をここに抜粋させて頂きます。)

 

 イングランド西南の港町、ブリストル。英国保守主義の祖、エドマンド・バーク(一七二九−九七)の銅像は、市の中央にある広場に立つ。その台座には次のような文章が刻まれている。

 「私は善を行い、悪に抗する自己の役割を果たすためにこそ、議会の一員でありたいと思う」

一七八〇年九月、ブリストル市選出の下院議員、バークは選挙人を前に一時間をはるかに超える大演説を行った。

在任中、あまり選挙区を訪れなかったことなどで強い批判が出ていた。政治生命にかかわる危機の中での反論・弁明の演説だった。

 「自らの代表に広い視野に立って行動する余地を認めないなら、わが国の代議制度は単なる地域的な利益代表者間の騒々しい抗争の舞台に堕落するに決まっている

 「諸君にふさわしい代表は、確固たる信念の持ち主でなければならない」

 その六年前、下院議員に選出された直後にバークは選挙人にこう演説していた。

 「諸君は確かに代表を選出するが「いったん諸君が彼を選んだ瞬間から、彼はブリストルの成員ではなくイギリス本国議会の成員となる」……

 

 私は、このバーク氏の言葉に感動します。

このバーク氏の言葉を、国会議事堂を初め、日本全国の議場に掲げて欲しいと思いました。

それに、全議員の事務所に。

 

 地方への権限委譲を、速やかに行い、「地元への利益誘導政治ごっこ」を早く止めて欲しいものです。

そして、私達は、利益誘導にうつつを抜かす議員ではなく、「私は善を行い、悪に抗する自己の役割を果たすためにこそ、議会の一員でありたいと思う」、また、「諸君にふさわしい代表は、確固たる信念の持ち主でなければならない」とのバーク氏の言葉を実践する議員に投票する責任を課せられているのです。

 

 「国益」「国益!」と云う下品な言葉が、今の日本を覆い尽くしています。

かつて、日本人は「エコノミック・アニマル」と世界中から非難され、自らを恥じました。

何故「国益」が正義で、「エコノミック・アニマル」は悪なのですか?

私には、両者の区別が付きません。

“世界中、何処の国の外交も「国益」重視主義だから、日本も「国益」が正義だ!”と云うなら、“赤信号みんなで渡れば怖くない!”と同じではありませんか!?

 

 更に、世界中が「国益」を主張したら、結局は弱肉強食の世界となり、弱い国が搾取され、その国民は困窮に泣かされます。

その国の人達だって、私達同様な人生を享受する権利はあります。

でも、その弱い国はどうやってその権利を主張出来るのですか?

その為に、テロに走る事もありましょう。 
(拙文《日本は「奇跡の憲法」を捨て「国益アニマル」に転落するのか》等も御参照下さい。)

 

 そして、強者にしがみついた我が日本国は、テロの標的となっています。

なのに、我が国のポチは“国民はその覚悟が出来ている”と勝手な事を云っています。

冗談ではありません!

だったら小泉首相自ら、イラクやアフガニスタンに飛んで行き、身を挺してテロの幹部達と話し合ってきて欲しいものです。

拉致問題、核問題でも、小泉氏は単身北朝鮮に乗り込んで交渉すべきであるのに、相変わらず得意の丸投げです。

 

 万が一、日本で不幸な事態が発生したら、小泉氏並びに政府関係者が揃って殉死する覚悟が出来ているのなら、“国民はその覚悟が出来ている”と云う事も考慮の余地はありますが、テロの犠牲も国民へ丸投げでは堪りません!

 

 最近のイラク国民への世論調査で、「多くのイラク人がアメリカの攻撃で、フセインが倒された事を感謝している」との結果が出たと報じられたりしていますが、その世論調査の対象に亡くなった1万人以上の方々が含まれていましたか!?

(身体の自由を奪われた方が含まれていましたか!?)

死人に口なし」の政治は止めて下さい

 

 世界中で「国益」「国益!」と云っていたら、国連がその使命を遂行できるわけはありません。

 地方と国政に関するこの18世紀のバーク氏の言葉を、今、21世紀に於いては、国と世界全体の政治(即ち、国連)との関係に発展させるべきではないでしょうか!?

 

 愚かな政治家やマスコミはさておき、私達はバーク氏の言葉をしっかりと心に刻み込んでおくべきであると存じます。

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